獅子舞


 元日。
 俺は居間で秋子さんと一緒に寛いでいた。
 ちなみに名雪がこの時間に起きてくる筈もない。
 おせち料理に雑煮、それから縁起物という事で御屠蘇を少々…徳利に5本ほど空けた頃。
 ピンポーン。
秋子「御客様みたいですね」
 秋子さんはそう言って立ち上がった。
 程なくして玄関から。
秋子「祐一さん、御客様ですよ」
 と、笑顔の秋子さんが現われた。
祐一「誰ですか?」
 秋子さんは笑顔のまま首を傾げた。
秋子「それは見てのお楽しみです」
 お楽しみ?
 誰だろう、と、思いながらも玄関へ。
 しかし玄関には誰もいない。
祐一「外かな?」
 ドアを開ける。
 パクッ♪
祐一「うわぁぁっ?!」
 突然視界が暗闇に閉ざされる。
 いきなり頭を何かにパクッっと…。
 テケテンテンテン…。
 と、太鼓の音…って、これはひょっとして。
祐一「…獅子舞?」
?「…獅子舞さん」
 やはりそうか。
祐一「判ったから離してくれ…舞」
 獅子舞の顎から解放される。
 俺を解放した獅子舞は太鼓に合わせてくねくねと踊っている。
 …ちなみに太鼓を叩いているのは。
佐祐理「祐一さん、あけましておめでとうございます。…ほら、舞も御挨拶」
 佐祐理さんに言われて獅子頭を外し、その口をマペットのようにカクカク動かしながら。
舞「…おめでとう」
 と、腹話術よろしく話す舞。
祐一「ああ、おめでとう。今年も宜しく…で、その格好は?」
 言われて自分の格好を見下ろす舞。
舞「?」
祐一「不思議そうな顔をするな!」
舞「…ライオンさん…がおー」
 と、獅子頭の口をかくかくと開閉させる舞。
祐一「いや…多分獅子舞の獅子とライオンは別物だと思うぞ」
佐祐理「はぇ〜、そうなんですか?」
 佐祐理さんの驚き方からすると、どうやら真剣らしい。
 しかし。
祐一「……」
 俺は無言のまま佐祐理さんの全身を見回した。
佐祐理「ふぇ?」
 ちょっと赤面しつつ、それでも笑顔を崩さない佐祐理さん。
祐一「で、佐祐理さんのその格好は何なんですか…」
 佐祐理さんはなぜか巫女の装束に身を包み、太鼓を首からぶら下げていた。
佐祐理「はい。舞のコーディネートです」
舞「…縁起物」
 そりゃ、なんとなく縁起良さそうだけどさ。
祐一「なんで巫女装束?」
舞「…紅白でおめでたい」

…1999年の年賀SSと同じオチだ…つーか、落ちてないし(爆)


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