目覚まし秋葉 ぱ〜と2


アルク「やほ〜! 志貴起きてる〜?」
…遠くで誰かが呼んでいる。
アルク「んー…返事がない。ただのしかばねのよーだ♪」
……どこで覚えて来るんだか。
アルク「相変らず熟睡してるね…あれ? あ、い〜な〜、これ」

目覚まし秋葉パ〜ト2♪

トントン。
控え目なノック。
そして。
翡翠「――おはようございます、志貴さま」
志貴「あー…うん、おはよう」
翡翠が俺の事を、少し困ったような表情で見下ろしている。
志貴「えーと、翡翠…腕、動かないんだけど」
翡翠「はい。そうだと思います」
志貴「あー…そうなんだ」
翡翠から見てもそう見えるんだ。
なら仕方ないか。と、寝ぼけた頭でなんとなく納得してみる。
翡翠「はい。志貴さまの右手にはアルクェイドさまが。左手には秋葉様がしがみ付いてらっしゃいますから」
志貴「ああ、そうか。道理…で…え゛?」
右を見る。金色の髪の毛。
左を見る。流れる黒髪。
志貴「翡翠…これ、何?」
翡翠「…アルクェイド様と秋葉様です」
いや、それは分かるんだけど。
何の冗談だ?
アルクェイドは判るけど、なんで秋葉が?
いかん。
動こうにも、二人がしっかりしがみ付いてて動けない。
志貴「……翡翠、ちょっと秋葉を剥がしてくれないか?」
翡翠「剥がす…ですか?」
志貴「ああ」
アルクェイドを剥がすのは翡翠じゃ無理だ。というか、危険過ぎる。
翡翠「…宜しいのですか?」、
志貴「ああ。頼む」

翡翠は秋葉の肩に手を伸ばし。
「…申し訳ありませんが私には出来そうにありません」
なぜ?
「それに秋葉様は目を覚ましてらっしゃいます」
「…起きてるって?」
それにしては翡翠の台詞に何の反応もない。
「はい…先程からこめかみの辺りが、こう…ピクピクと…」
俺の視点からは秋葉の頭しか見えない…が。
…ああ、でも起きてるな、これは。
何となくそう思った。
「秋葉。起きてるなら手を離してくれ」
俺がそう言うと秋葉は一層しっかりと俺の腕を抱きしめてきた。
「……志貴様、どうかしましたか」
どう、とは?
「…その…どうして泣いてらっしゃるのですか?」
「…いや、不憫で…」
普通なら柔らかい感触なりがあるだろうに…。
兄は秋葉の将来を思うと不憫で不憫で。
「判りかねます? …詳しくお聞きしても宜しいでしょうか?」
「いや。秋葉の胸の将来を憂えていただなんて、秋葉の前ではとても言えない」
「………志貴様」
翡翠が悲しげに目を伏せ、首を振った。
「全部言ってしまっています」
頼む。そこで十字を切らないでくれ。
「…兄さん。今何かおっしゃいましたか?」
右を見る。金色の髪の毛。
左を見る。流れる黒髪…じゃなくて真っ赤な何かが視界を覆う。
と、突然、俺の身体が右に引っ張られた。
「志貴、危ない!」
ぶん。と風を切り、壁が迫ってくる。
…なんで壁が?

俺の意識はそこで途絶えた。

トントン。
控え目なノック。
そして。
翡翠「――おはようございます、志貴さま」
…良かった。
悪い夢だったか。
志貴「あー…うん、おはよう。いつも起こしてもらってありがとう」
翡翠「いえ、これは私の仕事です。そのような御言葉は…」
翡翠はそう言いながら俺の事を、少し困ったような表情で見下ろしている。
志貴「えーと、翡翠…なんだか身体、動かないんだけど」
翡翠「はい。そうだと思います」
志貴「あー…そうなんだ」
翡翠から見てもそう見えるんだ。
なら仕方ないか。と、寝ぼけた頭でなんとなく納得してみる。
翡翠「はい。志貴さまは全身、ギブスで固められておりますので」
………夢じゃなかったのか。

ちゃんちゃん♪
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