Kanon 俺の夏物語
           その四

「名雪―!起きろ―!」
ドンドン!
「うにゅ」
「起きたか!?」
「ふにもん・・・」
「ふにもん?・・・・」
現在朝の八時。
駅前に十時集合だ。
「訳分からんが、とりあえず起きろー!」
「だおー」
「だめだこりゃ」
もう、こうなってしまっては手がつけられない。
一旦あきらめよう。
俺は決心し階下へと下りた。

キッチンに行くとベ―コンの良い香り。
「おはようございます」
「あら、祐一さんおはようございます」
いつも通り秋子さんにあいさつをして自分の席に座る。
隣にはなにやら無心にト―ストにマ―ガリンを塗っている真琴がいた。
「おまえなにもそんな一生懸命マ―ガリン塗らなくても」
「あたしは何事にも一生懸命なの」
「ほう、だからトイレでも一生懸命だったのか」
「覗いたの!?」
「誰が覗くかアホ」
「う〜、もう!話し掛けないで!」
・・・・・・。
どこかで聞いたセリフ。
「うにゅ、おはようございまふ―」
とそこへ名雪が起きてきた。
「おはよう名雪、それよりおまえどんな夢見てたんだ?」
「え?・・・」
名雪が不思議そうに首を傾げる。
「私なんか変なこと言ってた?」
「変というか訳分かんなかったな」
「ふ〜ん」
俺と名雪がそんな会話をしていると奥から秋子さんが出て来た。
「祐一さんも名雪もト―スト食べるわよね」
「あ、はい、頂きます」
「うん、食べるよ」
二人で返事をする。
「じゃあ、ちょっと待ってて下さいね」
そう言ってまた奥へ入って行く。

ふと俺が横を見てみると真琴が
今度はジャムを塗っていた。
「ぐあ、おまえまだ塗ってたのか」
「何よ―いいじゃないの」
「よかない!
あ〜あ、もうパンが硬くなっちゃてるじゃないか」
「あ、本当だ」
まったくこいつは何でいつもこうなんだ・・・。
俺が呆れていると。
奥から電子レンジの“チン”という音とこんな声が・・・・・。
「あら、ジャムがきれちゃったわね 仕方ない二人にはこのジャムを・・・」
ガタン!
「おおおお、俺そろそろ荷物をまとめなきゃ」
「わわわわ、私も!」
そう言うやいなや二人はダッシュで二階まで上がった。
「あ、危ない所だった」
「本当だね・・・」
まあ、荷物をまとめなきゃいけないのは本当だし・・・。
「真琴大丈夫かな」
名雪が不安そうにつぶやく。
「大丈夫じゃないだろ、たぶん」
すまん真琴、ちゃんと富士山頂で埋葬してやるからな。
俺が涙を流しながら敬礼していると誰かが階段を上る音が・・・・。
ギイギイ・・・。
「ゆ・う・い・ち〜」
「ぎゃ――、お化け―!」
「誰がお化けよ!」
「ごめん真琴大丈夫だった?」
俺が真琴をからかっていると苦笑いの名雪が会話に入ってきた
「あうー、ひどいよ二人共」
「すまん、だがあのジャムには勝てないんだ」
「そうなんだよ・・・・」
《・・・・・》
一同黙り込む。
そんな時、階下から秋子さんの声が。
「みんなー準備出来たのー?」
「おっと、そういやそうだったな」
「わあ、もうあんまり時間ないよ」
各自ドタバタと部屋へと入っていく。
・・・・・・・。
しばらくしてまたドタバタと部屋から出てくる。
全員が玄関に集まったところでいざ出発。
「みんな準備はいいわね」
《はーい》
これじゃ小学生の遠足だな。

夏の日差しが照りつけるアスファルトを一同駅へ向けて歩く。
「祐一お腹空いてない?」
「そういや、なんも食ってないな」
「じゃあ、はい」
そう言って名雪が渡してきた物は。
「いちご大福?」
「うん!おいしいよ」
「そりゃ、不味くはないだろうけど」
何でこんな物持ってるんだ?
いいや、深く考えない様にしよう。
「いただきま〜す」
パクパク。
「おいしい?」
「うまい。けど飲み物が欲しいな」
「じゃあ、はい」
「今度はなんだ」
・・・・イチゴ・オレ。
「なあ、名雪」
「うん?」
「他のも何か入ってるのか?」
名雪の二つ持っている片方のバッグを指差しながら言う。
「うん、イチゴケーキでしょ、イチゴ牛乳でしょ後それから・・・・」
「あーもういい」
俺はぶんぶんと手を振り名雪の言葉を遮る。
「向こうに着く頃には腐ってるぞ」
「大丈夫だよ、ちゃんと二酸化炭素を入れてきたからね」
「ドライアイスって言えよ」
そんな事を話しているといつの間にか駅に着いていた。

「北川君達もう来てるかな?」
「さあ、もう九時五十分だし来てるんじゃないか?」
俺達がきょろきょろしていると遠くから俺の名前を呼ぶ声が。
「祐一さーん」
「よお、栞」
美坂姉妹の登場だ。
「おはよう、香里」
「おはよう、名雪。よく起きれたわね」
「私だってやる時はやるよ」
香里と名雪が早速フレンドリーぶりを発揮している。
むう、こっちも負けじと。
「おはようございます。祐一さん」
「おはよう、栞。よく遅刻しなかったな」
「そんな事言う人嫌いです」
うむ、ほぼ互角ってとこだな。
「あの、祐一さんあいさつはその辺にして」
秋子さんが言ってきた。
「そうですね、早いとこ北川達と合流しないと」
と、またみんなで歩き出そうとした時。

「おーい、相沢ー」
「おお、その声は北・・・が・わ」
俺は明日の方を向き目を細めみんなにこう言った。
「さあ、行こか」
「そうね・・・」
香里が同意してきてくれた。
「こーら、待て待て」
北川が、つかつかと近寄ってくる。
「うわ、近寄るな」
「何でだよ〜」
「だって・・・」
麦藁帽子にサングラス。アロハな感じの半そで半ズボン。
「どう見たって不信人物じゃないか」
「ははは。ほんのジョークじゃないか」
朗らかに笑う北川。
「はあ、まあいいか。
他の奴らとも合流しなきゃいけないし」
その後五分程であゆ・佐祐理さんと舞と合流し天野もあっさり見つかった。
「さて、これで全員揃ったな。んで北川これからどうすればいいんだ」
「うむ、後三分程で電車が出る」
・・・・・・。
「急げーー!」
ぎりぎり駆け込み乗車で電車に乗り込む。
こうして、波乱万丈。奇想天外な旅が始まった・・・・。

あとがき。
えーこの作品も五作目です。
立派な連載作品ですねー。
ていうか私が一作のまとめるのが苦手なだけですけどね。
まあ、次回でやっとディズニーに到着・・・
するはず。
では!(汗)ご感想お待ちしてます。


感想等は こちらまで お願いします。


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