Kanon 俺の夏物語
           その六

栞との協力によりなんとか目的のホテルに辿り着いた俺達は、今呆然とそのホテルを見上げていた。
「大きいね・・・」
「はえー、大きいですね」
「大きい・・・・」
「大きい!でかい!」
みんな口々に感想を述べる。(みんな同じだけど)
「な、なあみんな、もういいだろ。
そろそろ中に入ろうぜ」
一人だけ顔を赤面させながら慌てる俺。
この人数で上を見上げながらブツブツ言っていたらまるで何かを空から召喚してるみたいじゃないか。
急いでホテルの扉を開けようとする
と・・・・。
「待てい、相沢!」
「ぐえ!」
突然襟を掴まれ後ろにつんのめる。
「何すんだ!北川!」
「ふふふ、相沢君。君はとても重要な事を忘れている」
「重要な事?・・・」
「うむ、それは・・・・」
そこで言葉を区切り、こぶしを握り締め天に向かって叫ぶ。
「部屋割りだ!」
「あ、忘れてたね〜」
ぽん、と手をたたきながら言う名雪。
「重要だもんね!」
小学生の様にはしゃぐあゆ。
「・・・・・・」
そんな中、俺だけが冷めていた。
「で、北川。どうやって部屋割を決めるんだ?」
とり合えず聞いといてやる。
「ははははは、こんなこともあろうかと前々からちゃーんと用意しといたのだ!」
そういってバッグから取り出したのは四角い箱だった。
「何だ?それ・・・」
「見て分からんのか、これこそ男のロマン!
 くじびきだ!」
ジャジャーンという効果音と共に北川の背に太陽が現われた。・・・・ような気がした
「あ、真琴が一番最初にひく〜」
「ずるいですよ真琴さん!」
「こらこら、落ち着け二人共」
とり合えず真琴と栞をひっぺがす。
と、北川が早速解説を始めた。
「え〜、まず部屋が全部で四人部屋が三部屋ある。
 から必然的に一人余ることになる」
「舞、一緒になれるといいね」
「うん・・・」
と、舞アンド佐祐理さん。
「私お母さんと一緒がいいな〜」
「あらあら」
と、水瀬親子。
だれも北川の説明なんぞ聞いていなかった・・・。
そして、それぞれの思いを胸に秘め。(言ってるけど)
第一回部屋割りくじ引き合戦が始まった!
十分後・・・・・。
くじ引き合戦はあっさり終わった。
で、部屋割りは以下の通りです・・・。

俺、舞、佐祐理さん。
あゆ、栞、真琴、天野。
名雪、北川、秋子さん、香里。
まあ、北川は香里がいる限り下手な真似はできないだろう。
「やったね舞!」
「うん・・・」
「お母さんと一緒だおー」
「名雪ここで寝ちゃだめよ」
・・・・・・。
なぜか各人願いが成立しているのは気のせいか?
「まあ、いいや。じゃあ今度こそ入るぞ」
「おう!」
元気よく返事をする北川。が・・・・。
「へへへ、今晩は親子どんぶりといくか・・・」
「相沢フライングクロスチョップ!」
「香里式真空かかと落とし!」
ゴ!ガス!ドム!
一瞬後には北川の亡骸が転がっていた・・・・。
「相沢君・・・これで悪は滅びたわね」
「ああ・・・」
汗をぬぐいながら
勝利の喜びを分かち合う香里と俺。
「あの〜このままでいいんですか?」
つんつんと死体をつっつきながら尋ねる栞。
「んなものほっとけ」
「そうよ栞。ほらこっちに来なさい」
「は〜い」
「じゃ、入るぞ」

両開きの扉を開ける。
『おお〜!』
一同感嘆の声をあげる。
ロビーは赤い絨毯が敷かれていてとても天井が高く
まさに一級ホテルといった感じだ。
とりあえず俺は受け付けへと足を向ける。
「すいません、え〜と予約してあるんですけど・・・」
「はい、お名前のほうは?」
そういやあいつ自分の名前で予約したのか?
ま、いいや言ってみるか。
「えと、北川です・・・」
「北川様ですね。少々お待ち下さい」
「はい・・・」
ふう、どうもああいう普段聞き慣れない言葉を聞くと緊張するぜ。
ふと、横を見てみると何やら真琴がピョンピョンと跳ねていた。
「何やってんだ?おまえ・・・」
「え?めずらしいものがいっぱいあるから」
「そんな事してたら田舎丸出しだろ」
「え?なんで?」
真琴の周りに?マ−クがとんでいる。
「はあ、もういいよ」
「変な祐一」
「お待たせしました」
とそこへ受け付けのお姉さんがキーを持って現われた。
「こちらがお部屋の鍵になっております
 なおこのホテルは自動ロックになっておりますのでお気をつけ下さい」
「はい、どうも」
俺はちゃっちゃと鍵を受け取りみんなの所へ戻った。
「ほい、鍵。部屋は五階らしいぜ」
「ねね、行こ行こ早く行こ」
はしゃぐ真琴。
「そんな慌てんなって」
ぽん、と頭に手を置く。
そして一同エレベーターに乗る。
チン。
「え〜とあっちだな」
「お、ここだ」
「じゃあ、あたしたちは514号室ね」
そういって手を差し出してくる。
「おう」
と、俺はその手に鍵を乗っけた。
「ボク達はどこでもいいよ」
「じゃあ、あゆだけ廊下で寝ろ」
「うぐぅ、いじわる・・・」
「冗談だ」
ほれ、と鍵を渡す。
「じゃあ佐祐理達は513号室ですね」
「そうだな」
「じゃあまた後でね〜祐一〜」
「待てー!」
「何?」
部屋に入りそうになった名雪を呼び止める。
「え〜と、みんなにも言っておくがこのホテルは自動ロックだから気をつけるように」
「祐一君」
あゆが袖をひっぱて来くる。
「なんだ?」
「自動ロックって何?」
「ようするにだな、ドアを閉めると勝手の鍵がかかるシステムになってるんだ」
「へえ〜」
「だから、部屋の外に出るときはちゃんと鍵を持って出るんだぞ」
「うん、分かった」
「じゃあ、みんな一旦それぞれ部屋に入ろう」
そして、みんなあいさつを交わし部屋へ入った。


あとがき
うおおおー!話の進行速度が遅すぎるー!
なんとかせねば!
後は感想・・・・下さい。




感想等は こちらまで お願いします。


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